ホメオスタシス ―サプリメントよりも食べ物で―
私たち動物は外的・内的に影響を受けても、自分の体内でバランスを取り、生命を維持できるような能力を持っています。この能力をホメオスタシスといい、「恒常性の維持」と訳されています。
野菜不足の状態が続くと無償に野菜が食べたくなる、汗を大量にかくと塩分が欲しくなる、甘いものが無償に食べたくなる、食べすぎの状態で苦しくなると早く排泄しようとする…というような状態になったことはありませんか。これがホメオスタシスによる働きで、足りない時は取り入れ、多すぎる時は出そうとする体に備わった能力です。体内でバランスを保ち健康を維持する、ホメオスタシスとは体の内なる声ともいえます。
成人の一日に必要なビタミンC所有量は100mg。普通、私たちはこのビタミンCを野菜や果物など食べ物から取っていますが、これをサプリメントで取ったとしましょう。レモン何十個分のビタミンCが入っている飲み物や錠剤を利用すれば、野菜も果物も食べる必要がありません。取りすぎたってビタミンCは水溶性だから余計なものは尿として出てしまうから心配ないと多くの人は考えがちです。しかしビタミンCの過剰摂取は尿路結石を引き起こすことが知られています。
ビタミンCは水溶性なので、大方は尿として体外に出ますが、気をつけたいのは、ビタミンAやDのような油溶性のビタミン類。油になじみやすいものは蓄積されやすく排泄されにくいという性質があります。とくに単品でこれらの栄養素を取り入れると、体内の脂肪の部分や細胞膜に蓄積しあらゆる部分に取り込まれ、排出されにくいために体内にどんどん溜まっていきます。どんどん溜まったビタミンはどうなるかというと、肝機能を低下させたり、また妊娠中のネズミにビタミンAを大量に投与すると胎児に影響の出ることなどが証明されています。
体にどんなに必要な栄養素であっても過剰の取りすぎは、かえって危険な結果を招きます。サプリメントの危険性は簡単に大量の栄養素を一度に取り入れることができること、これが一番注意すべき点でしょう。これ以上は必要ないという体の内なる能力ホメオスタシスが働かないため、栄養素はアンバランスに大量に摂取され、結果、取り過ぎによる弊害が生み出されるのです。
過剰摂取を防ぐには、食の基本である食べ物から取ることがベストです。食べ物からは一度にビタミンCを1000mgも2000mgも取ることはできません。一日の所要量100mgを取るにはレモンなら5~6個分の果汁を必要とします。1000mgだったら50~60個分のレモンの果汁が必要になります。一度にこんなにレモンを食べられますか。でも、レモン50個分のビタミンCが入った飲み物や錠剤なら、一気に飲むことができます。にんじん10本分のβ―カロテンが入った飲み物なら、難なく飲むことができます。でも一度ににんじんを10本も食べることはできないですよね。
当たり前のことですが、ビタミンAはにんじんやレバーなどから取る、ビタミンEは魚や大豆などから取る、というように自然の食べ物をバランスよく食べて栄養素を取り入れれば、決して取り過ぎることはありません。
各種ビタミンや食物センイ、鉄分、コラーゲンなど、さまざまな栄養素を含んだサプリメント。食べることができないなど、状況に応じて必要なときもあるでしょう。しかし、本来サプリメントは補強食品。食べ物からきちんと取った上で、不足する部分を補う時に摂取するなど、賢く利用する知識が必要です。
ビタミンCも鉄分もβ―カロテンも、食べ物で取れば、単体の栄養素だけではなく、その食べ物に含まれている計り知れないほどの他の栄養素や薬効が、私達の体にプラスに働いてくれます。サプリメントと自然の食べ物との大きな違いはこの一点にあるといってもよいでしょう。
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